香川県で生産されているうどん用小麦「さぬきの夢2000」が、最後の収穫を終えたそうです。
県産の粉を使った讃岐うどんの復活を目指し、2000年に開発された「さぬきの夢2000」。来年以降は、徐々に生産切り替えが進んでいた後継種「さぬきの夢2009」に100%その座を譲るとか。
「値段が安い」「味が良い」「ディープな店めぐりが面白い」と、B級グルメ界における最強コンテンツとしてこの10数年君臨し続けている、讃岐うどん。しかし、その麺を作り出す小麦粉の多くが海外産であることは、案外知られていません。
何故、香川のうどんが海外産の粉を使うようになったかといえば、香川の人たちがあまりにもうどんを食べまくるからです。県内産の小麦粉だけだと、とても足りないからです。
香川県は、日本で一番面積が小さい県。元から小さい小麦の作付面積は、昭和中期以降からさらに減少。にも関わらず、香川の人たちは、うどんを食べまくります。「信号とうどん屋の数が同じ」と言われるほど、食べまくります。朝5時とかでも、うどん屋が満員だったりします。小麦粉、足りません。
というわけで80年代あたりから、オーストラリアでの讃岐うどん用小麦の生産が本格化しました。徹底的にうどんへ最適化された小麦「ASW」が開発され、日本、いやおそらくほとんど香川だけが大量輸入。高い品質と安定した供給力によりASWは一気に定着、今日に至るも香川のうどんの標準的な粉であり続けてます。
でも、やっぱり、県産の粉でもうどんが打ちたい。そんな思いで生み出された「さぬきの夢2000」。量的にはとてもASWには適いませんでしたが、普通の消費者に「粉」を意識させたという点では、大きな功績を残したんじゃないでしょうか。小麦が疲れるものなのかどうかは知りませんが、「さぬきの夢2000」、とりあえずお疲れさまでした。
さぬきの夢 2009へバトン 朝日新聞