「これは作り話だ!」自分の伝記に不満?野口英世がとった意外な反応

湯本泰隆

偉大な功績を残して偉人と称される人たちは、後年その業績をたたえて「伝記」が書かれることは少なくありません。ただ、その多くが本人たちの死後に書かれたもの。

その「伝記」が果たしてどれだけ事実に基づいているのか、そして本人たちが気にいるできなのかどうかは知る由がありません。

けれど、生前中に自身の伝記が出版され、本人がその内容を確認できるケースが稀にあります。野口英世(のぐちひでよ)の場合もそうでした。

知らなかった!偉人・野口英世は改名していた。その驚きの理由を知ってますか?

「千円札の顔」の偉人は「改名」していた野口英世と言えば、日本が誇る世界的な細菌学者で「偉人」として語り継がれている人物です。「黄熱病」や「梅毒」の研究で知られ、2004年からは千円札の肖像…

細菌学の研究において、世界的にその名を広めた野口英世でしたが、晩年、ニューヨークに住んでいた彼の元に日本から一冊の本が送られてきました。その本の名前は『発見王野口英世』。野口の生涯を活字にした、彼に取ったら初めての伝記でした。

ところが、この本を読んだ野口は「これは作り話だ!」と一蹴したそうです。その理由は、その本が、野口のことを欠点がない完璧な人間としての描いた、美談ばかり書かれた内容だったからでした。

野口が偉大な功績をあげるまではきれいごとばかりではなく、本人にとっても後ろめたい出来事もたくさんあったわけで、そういう部分をまるでなかったかのようにして聖人のように書かれたことに対して不満を表したのです。

2ページ目 本人の意に反して偉人として持ち上げられた野口

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