神社は一つなのに、名前が違う「鷲子山上神社」
敷地をまっぷたつ、栃木県と茨城県にまたがる神社があるのをご存じですか?
その名も「鷲子山上神社」。
創建は807年と古く、祭神の「天日鷲命(あめのひわしのみこと)」が鳥の神様であることや「不苦労」という言葉が転じて、フクロウの像が祀られている神社としても有名です。
ここは大鳥居に続く石段から拝殿にいたるまでみごとに県境が貫いており、「右が茨城県、左が栃木県」という看板まで立っています。拝殿は一つですが、社務所は左右に分かれて二つあります。
奈良時代の文献『常陸風土記』には「下野の国との境である大山」との表記があり、元は朝日嶽という場所に鎮座していたそうですが、1552年にこの地に移されてきました。江戸時代までは水戸領で、明治の廃藩置県のときに現在の県境がしかれたそうです。
両県で御神体の奪い合いや競り合いが起こったことはなく、ゴミの収集日や大祭の費用まで分配して執り行っているそうですが、名前は栃木県側で「とりのこさんしょうじんじゃ」、茨城県側で「とりのこさんじょうじんじゃ」とびみょう~に異なっており、また、宗教法人としても文化財としても両県に登録されているそうです。
御神体は一つなのに、ややこしいですね。