謎に包まれた死。幕末の美男役者・八代目 市川團十郎はなぜ32歳で自殺したのか?その3

小山 桜子

幕末に、稀代の美貌を持つ大人気歌舞伎役者がいました。8代目市川團十郎です。彼は人気絶頂のさなか、32歳で自ら命を絶ちました。あまりにも突然であり、本人が何も語らずに亡くなったため、その死はいまだに謎に包まれています。前回に引き続き、8代目市川團十郎の生い立ちや境遇を辿り、その謎を考察します・・・。

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いまだ謎に包まれた死。幕末の美男役者・八代目 市川團十郎はなぜ32歳で自殺したのか?その2

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天保の改革の憂き目に

天保12年、老中・水野忠邦の天保の改革によって深川島田町にあった実家が取り壊された上、実父である7代目市川團十郎が江戸から追放され、二十歳そこそこで突然一家の大黒柱となってしまった8代目市川團十郎。

新しく木場に構えた新居に、実母すみと2人の妾、腹違いの弟妹11人だけが残され、急に重い責任が彼1人にのしかかりました。しかも彼はどうやら妾たちと折り合いが悪かったらしく、木場の家は8代目團十郎にとっては安らげる場所ではなかったようです。

こうした境遇から、8代目團十郎は女性そのものに嫌気がさし、妻帯どころか女は全く寄せ付けなかったといいます。

2ページ目 「團十郎」の名をめぐるジレンマ

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