京都・祇園祭のクライマックスである、山鉾巡行。あの巡行に出てくる巨大な山鉾、あれは皆さん御存知の通り、人力で動いてます。曳き手と呼ばれる人たちが、炎天下の中、日陰の全くない道のど真ん中で、引っ張ってるわけですね。
実はこの曳き手、その多くがボランティアによって構成されてます。京都に住んでる方なら、「曳き手募集」の張り紙を見かけたことがあるでしょう。やる気があって、体力があって、あと男なら、山鉾を曳くチャンスは結構簡単に得られるのです。
しかし「しんどいのは、イヤだ」「巡行が平日の場合、休みを取るのが面倒だ」「それ以前に、私は女だ」という方も多いでしょう。では、そういう人は山鉾を曳くチャンスがないのか。そんなことはありません、ちゃんとあります。巡行の5日前、毎年7月12日&13日に行われる曳初めという行事が、それです。
祭りに向けて組み立てられた山鉾は、巡行が可能どうかを確認するため、いわば試運転を行います。距離にして数100m、時間にすると数10分ほど。その試運転が、曳初め。曳き手は、本番の曳き手ではなく、その場にいる一般の見物人が担います。そう、当日現場にいさえすれば、誰でも山鉾を曳くことができるのです。
特に12日の曳初めは、巨大鉾が集中している四条室町近辺・通称「鉾の辻」で、各鉾が時間をずらして行うため、いわゆる「はしご」も可能。山鉾の綱を持つと一年の厄除けになるという言い伝えもあるので、実際に多くの人があちこちの鉾を引っ張ってたりします。
気軽に山鉾を曳く機会が持てると共に、観光モード全開の本番とはちょっと違うネイティブさも味わえる、曳初め。当日京都にいる方は、ふらっと立ち寄ってみるのもいいんじゃないでしょうか。