仏教の世界観において天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の6つの世界を六道(ろくどう)と言われており、このうちの「餓鬼道」は、飲食の飢えに苦しみ満たされることのない世界とされています。
そんな厳しい「餓鬼道」の世界を描いたのが、今回紹介する「餓鬼草紙(がきぞうし)」です。
餓鬼草紙は平安時代に描かれた絵巻物で、餓鬼道に住む餓鬼たちの救済に関する話をまとめたもの。平安時代末期、動乱の世からくる不安から仏教の六道思想に関心が集まり、それを背景に描かれた作品です。
餓鬼道に住む餓鬼にも種類があり、絵巻の中では様々なタイプの餓鬼が紹介されています。
貴族たちの宴に群がる餓鬼。人の残したものなどを食べられる「多財餓鬼」です。
道端で排便をする人々に群がり便を食そうとする餓鬼。これらの餓鬼は「食糞餓鬼」。