吉原遊廓では、年に一度だけ女郎たちが花嫁のような白無垢姿で過ごす日がありました。8月1日の「八朔(はっさく)」という行事です。今回は吉原遊廓の八朔をご紹介します。
八朔(はっさく)とは
そもそも八朔とは、徳川家康の江戸入府を祝う記念日です。そのため吉原遊廓だけでなく、江戸城にも真っ白な帷子を着けた武士達が祝賀のため登城しました。
吉原遊廓でも、それと同じように1日限定で女郎が白無垢姿で過ごしたのです。旧暦の8月はすでに秋だったので、花魁の雪のような美しい白無垢姿は「秋の雪」や「八朔の雪」などと呼ばれました。
白無垢といえば花嫁姿に通じるので、女郎たちはこの日は自分の一番の馴染み客をそれぞれ相方にしました。現代風に言うと「年に一度の花嫁コスプレイベント」とでも言えるでしょうか。金に糸目をつけないトップの馴染み客だけが、好きな女郎を一夜の妻として迎える事ができたのです。