シャンパンなどと聞けば、それだけでラグジュアリーな気分になれますよね。ボトルを冷やしておくシャンパンクーラーも、そこにあると不思議と場が華やかになるアイテムです。ただ同じシャンパンクーラーでも和みを感じるのがこちら。きっと木のぬくもりを感じてしまうからでしょう。
和がひしひとと伝わってくる造形美にお酒を飲む前にもう酔ってしまいそうです。なんと桶職人が手掛けたシャンパンクーラーなのだから驚きです。日本の伝統的な「檜(ひのき)」と「槙(まき)」を素材をもちいた3タイプのシャンパンクーラーをご堪能ください。(追記:10月8日に放送されたガイアの夜明けでも紹介されていましたね)
・Konoha(このは)
・Misumi(みすみ)
・Shizuku(しずく)
これらは料亭や旅館などで特に重宝されているようです。
このシャンパンクーラーは桶職人である中川周士氏によってつくられた業物。水に強く保湿性に優れており、保冷に適し、結露が生じにくい特徴があります。そうです、見た目だけでなく機能性にも注目なのです。
–先祖代々受け継いできた道具と技術、そして20%の革新性
桶をはじめとする木工芸の技術を、先々代から受け継いできた3代目の中川さん。大学では現代彫刻を学び、卒業後は木工芸をつくる傍ら、鉄のオブジェをつくる作業に10年も取り組んでいたそうです。このシャンパンクーラーのデザインにもその経験が込められてるのでしょう。
中川さんの手掛ける仕事の8割はそれこそ先々代から引き継いできた品々に、そして残り2割を現代的なアートしての作品に取り組んでいます。
これ凄いぞっ!と唸る点は、中川周士さんが使いこなす鉋(かんな)の種類です。実に300種超の鉋を使いこなし、古いものでは200年以上から使用され未だに現役の鉋もあるそうです。工芸品とともに道具もいっしょに受け継がれています。
–木が薫るアイテムは他にも
シャンパンクーラーだけではなく、アイスペールやピッチャー、グラスなどのアイテムもつくられています。すべて揃えればなんて和やかでラグジュアリーな気分になれるのか、想像しただけでドキドキしてしまいますね。
–“木は人が離れると朽ちてしまう” に込められた伝統継承
最後に木のものづくりを続ける中川さんの言葉がとても印象的なので、ご紹介します。
木は、人が離れると朽ちてしまう。木の文化は人の生活があるところにだけ成立するのです
古いもんを守りながら、新しいことにも挑戦していかな、と思うんです。木の美しさ、やさしさ、強さ。木をよく知ってもらうために、ていねいにひとつずつ作っています
凡庸なフレーズではありますが「日本の古きよき伝統」を残しつつも進化させていく、そんな心意気を感じるような力強い言葉です。「木のもの」という日本の伝統工芸と、「シャンパン」のような横文字に関わる新しいデザインへの挑戦が、酔える造形美を生んだのではないでしょうか。