葛飾北斎と言えば、浮世絵界だけでなく、日本画のメジャーな絵師として世界でも「HOKUSAUI」で通じる程有名な、江戸時代の美の巨人ですね。
数々の有名な作品を残している北斎ですが、最も有名なシリーズに「富岳三十六景」があります。「神奈川沖浪裏」や赤富士の通称で親しまれている「凱風快晴」などは特に有名な浮世絵なのではないでしょうか?アナタも一度は見たことがあるはず…
しかし、この2つの作品を実際にご覧になった事はあるでしょうか?
テレビなどでは画面一杯に映し出される事もあるのでとても大きく感じる人もいるのではないでしょうか?50インチテレビなんかだと、横幅110センチにもなりますからね。
海外の有名な作品なんかは、例えば、レオナルド・ダ、ヴィンチの最後の晩餐などは横幅910cm✕縦420cm(!)。よく街中を走っている大型トラックよりも大きいんです。まさに壁一面、絵画…といった感じです。意外と小さいなんて言われるモナ・リザですら、縦77cm✕横53cmです。新聞の見開きに近い大きさです。
しかし、北斎のこれらの作品の実物を目にすると大きな期待とは裏腹にその大きさ…いえ、意外な小ささにえっ??…と一瞬、目が点になります。
- 「神奈川沖浪裏」25.4cm×37.1cm 。
- 「凱風快晴(赤富士)」39cm×26cm。
なんと、モナ・リザの半分くらいの大きさしかないんです。北海道の札幌にある時計台やシンガポールのマーライオンなどを見た時に感じる気持ち…と言うと分かる方もいらっしゃるかもしれませんね。
まだ、実物をご覧になった事のない方の為に、ざっくりとした比較図を用意してみました。例えば、A4コピー用紙と比較するとこんな感じ…
思ったよりも小さく感じませんか?
こんな事を書いて「北斎さん、もっと大きく描いて~な~」…と言うコトを言いたいんじゃありません。展示会で実物を見て、大きさは小さかったんですが、次に感じたコトは「こんなに小さいのにすっごく細かっっ」…でした。こんな小さな画面であれほど細かくて、ダイナミックな富士山の風景達を描ききったのは正に、驚異という他ありませんね。実際の北斎さんの作品を見る機会があったら、作品の詳細さを隅々まで注目してください。
あ…隅々…すみずみ…すみ……「すみ」といえば、墨田区に去年の10月「すみだ北斎美術館」が開館しました。墨田区は北斎の臨終の地です。北斎さんのイロイロな作品を見る事ができます。この記事でご紹介した2つの作品も所蔵しているそうなので、もしかしたら見る機会があるかもしれませんね。
画像引用:2005年 北斎展 図録より