実は七五三の千歳飴も伝統色。五感で感じる、自然が描き出す「秋の伝統色」を紹介

武田みはる

日本には美しい四季の移ろいがあります。それを最も肌で感じることができるのが、秋から冬にかけての時期ではないでしょうか。私たちの生活の一部となっている色も、実は古くから伝わる日本の伝統色だったりするのです。

奥ゆかしくもちょっと知的な日本の伝統色「秋」をご紹介します!さりげなく、友達に自慢するのもあり?

七五三のお菓子といえば「千歳飴」、あのかわいらしい色が!?

子どもの無事とさらなる成長を願う儀式「七五三」に欠かせないお菓子といえば、「千歳飴」ですね。

この千歳飴の色は、「中紅花」(なかのくれない)という日本の伝統色なのです!

ベニバナのみで染めた明るい紅色。現代ではベビーピンクと呼ばれる女子のハートをわしつかみにする色です。平安時代には、この「中紅花」より一段渋い「韓紅」(からくれない)が大流行したのだとか。

いつの時代も、ピンク色は女子受けがいいものです。

美味しい紫いもの色はあの「竜胆色(りんどういろ)」!?

眼精疲労に効果があると言われる紫いもですが、あの独特の紫色は「竜胆色」(りんどういろ)という日本の伝統色です。

本州から四国、九州にかけて野山に自生するりんどうの花。

古より秋に咲く花の代表として、『野菊の墓』(伊藤佐千夫作)などたくさんの文学作品に登場しますねあの可憐な姿のりんどうの花が、なぜ「竜の胆」という字になるのでしょうか?

じつは、根っこが強烈に苦く、その苦味がまるで竜の胆のようだとしてこのような漢字になったのだそうです。昔の人の逞しい想像力が偲ばれます。

毎年、芸術や科学の世界で発展に尽力された方に授与される「文化勲章」の紐の色も、この竜胆色なのです。優しくも縁起の良い色ですね。

知ってた?「女郎花(おみなえし)」って高貴な女性の色っていう意味!?

秋の七草のひとつである女郎花。

爽やかで涼し気な黄色は、秋とはすこしかけ離れた色あいではありますが、古来より秋の野にひっそりとたたずむ女性の姿にたとえられてきた色です。「女郎」(いらつめ)とは、身分の高い女性や若い女性のことで、女郎花とは若くて高貴な女性の色とされてきたのですよ。

名にめでて折れるとばかりぞ 女郎花  われ落ちにきと人に語るな  (僧正遍昭)
(愛らしい名前につられて手に取って折ってしまったのだよ、女郎花よ。わたしがおんなに堕落したなどと語るんじゃないよ)・・・古今和歌集より

立派なお坊さんもつい手折って後悔してしまう、たおやかな秋の花。女郎花という漢字も、このような外見からついたのでしょうか。

なにげない日常にある花や風景の色にも、こうした伝統色があふれています。奥ゆかしいネーミングの色を知ると、毎日の風景がちょっぴり新鮮に感じるかもしれません。

トップ画像出典: Wikipedia

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了