アイヌ民族の言語であるアイヌ語。アイヌ語は口承で受け継がれていた言語のため、文書として後世に受け継がれた記録はあまり残っていません。
そんな、もともと文字を用いないアイヌ語を使用していたアイヌ民族が語り継いできた民話を集め、日本語と英語による訳と単語ごとの注釈を付けたデータベースがこのたび公開されました。
公開された「アイヌ語口承文芸コーパス―音声・グロスつき―」を作成したのは国立国語研究所のアンナ・ブガエワ特任准教授と千葉大の中川浩教授らのグループ。データベースには北海道で民話を語り継いでいた木村きみさん(1900-1988)が語った物語10篇、録音時間にして約3時間分が収録されています。きみさんは日本語よりもアイヌ語を自由に使えるほどの話者であり、優れた語り部だったそうです。
出典:アイヌ語口承文芸コーパス
アイヌ語には文字がないため、きみさんが語った民話はカタカナとローマ字で表記されてデータベースに収録されています。音声データも収録されておりアイヌ語の音を聞くことも可能。お話のタイトルは昔話として面白そう。
現在、アイヌ語は消滅の危機に晒されています。日常的に話す人がほとんどいなくなり、アイヌ語の保存が課題となっています。研究グループでは、今後、収録する民話の数を増やしていくとのこと。次年度には本データベースに使用する予定の約4時間分を公開予定なんだそうです。
アイヌ語口承文芸コーパス ー音声・グロス付きー|A Glossed Audio Corpus of Ainu Forklore
via: アイヌ語民話のデータベース ネットで公開
2016. 3. 31: 記事内容を一部校正しました。