男着物ブランド「和次元 滴や」が展開している、同ブランドの10周年企画「10th Anniversary Limited Collection」の最後の作品が発表されました。
1年間にわたって新作10作品を発表するこの企画の最後を飾るのは本革を使用した袴。「滴や と言ったら袴」と言えるほど、滴やではこれまでにも素材・ディテールにこだわった袴の数々を発表してきましたが、今回もかなりのインパクトある作品になっていますよ。
本革を使用した袴というのは非常に珍しく、筆者自身も見たことがありません。今回の作品では袴1枚に大きな牛革1.5頭分を使用しているそうです。
同時に発表された小袖、バッグも本革袴との相性バツグンでお見事といったところ。
Op.10-1 : Real Leather Hakama “Akatsuki”
黒に赤いムラが映える妖しげな色が特徴的。はっきりとした赤い染めムラを一番に目を引く腰板に模様として配置し、袴全体のアクセントに。黒地に黒のかすれた柄が浮き出た小袖にも注目。バッグは袴と同じ革で制作されているそう。
Op.10-2 : Real Leather Hakama “Hayabusa”
全体を黒でコーディネートした滴やの「カッコ良さ」を詰め込んだ作品。小刻みに歪んで大人しくしていないヒダ、革だった時のままの不揃いな裾、引き締められた厚めで力強い紐…どれも油断すれば元の革の状態に戻ってしまいそうな野性味が生かされた作品。この袴にあわせるのはスタッズが施された力強い小袖。
本革という素材が見事に生かされた2作品。制作において皮探しや職人さん探しなどかなりの苦労があったそう。袴は想像以上に使用する生地の量が必要なのだそうで、袴1枚に必要な生地の量でズボン4本以上、スーツなら上下が作れてしまうほど。
完成に至るまでの苦労やこの作品にかける思いがホームページで語られていますので是非チェックしてみてください。ものづくりに携わる人は共感する部分や学べることもあるかと思います。
正絹の着物などは世代を超えて受け継がれ着続けられることもあり、おばあちゃんの着物を受け継いだ…という人もいると思いますが、本革袴にも世代を超えて受け継ぐようなカタチはアリでしょう。数十年後に「じいちゃんから受け継いだ本革袴」を履いた子供がいたら素敵ですよね。
Opus.10 | Shizukuya 10th Anniversary Limited Collection | 和次元・滴や