和型の墓石、洋型の墓石に押され気味

Japaaan編集部

(photo by 狸☆兎 @ PHOTOZOU)
和型の墓石が、洋型の墓石に押されてるそうです。和型の墓石とは、いわゆるオーソドックスな墓石のこと。四角くて長い石の角柱に「何ちゃら家先祖代々之墓」などと書いてあり、その下に正方形の台がある、あれです。和型三段とか和型四段とか、まるで柔道みたいな名前で呼ばれてるそうですが、とにかく、あれです。あれが最近、押されてるそうなのです。

「墓のない人生は、はかない人生」と、どっかの墓地か墓石メーカーがCMを流してたことがありますが、今でも多くの日本人は墓を大事にします。なるべくなら、立派な墓を立てようとします。立派な墓を立てる費用をめぐり、家族兄弟の間で揉めごとが起こったりもします。そんなゴタゴタを嫌う人も、散骨には抵抗あるなあとか言ってるうちに急死して、それなりの墓を勝手に作られるハメになったりします。

良くも悪くも「旧習」というイメージのある墓ですが、しかし、庶民が今のような形で墓を作るようになったのは案外最近で、江戸時代以降のことだそうです。揉めごとの巣窟ともいえる「家の墓」という考え方が定着したのは、さらに時代が下って、明治以降。そんなに「旧習」って感じでもないですね。それ以前の墓については諸説あるようですが、少なくとも現在のものよりはアバウトだったようです。


和型の墓石を押してる洋型というのは、いわゆる外国人墓地にある、横長で背の低いやつ。「死してなお、しゃれおつ」てなもんですが、実際問題としては、石の使用量が少ないぶん、こっちの方が費用は安くつくそうです。加えて、その形状ゆえ地震で倒れにくいのも、震災以降はすごく好評。デザイン墓石などを含めると、そのシェア、今や墓石全体の約4割。値段が安くてシェアが増えた分、墓石全体の平均購入価格までが下がったといいます。ちなみに和型のシェアは、洋型とほぼ同じの4割ちょっと。そのうち、順位が逆転するかもしれません。

「和の魂よ、いずこへ」と嘆くのは、早計でしょう。千年単位で考えれば、好きなように墓を建てる方が日本のやり方だったのかもしれないのです。100年後、いや50年後には、奇抜な墓ばっかりが霊園に並ぶようになってたりして。で、そのデザインがアーティストの安定した収入源になってたりして。お盆に、今までとは違う視点で墓を見てみるのも、いいかも知れません。

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