NHKのEテレ(旧・教育テレビ)で、朝は『0655』、夜は『2355』という、たった5分の番組が放送されているのをご存知でしょうか?
『0655』は起きたばかりでちょっとぼんやりした頭を目覚めさせるのにちょうどよく、『2355』はリラックスして良い夢が見られそうな、そんな番組です。小さな子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、家族で見てもご夫婦で見てもほっこりできます。
その『2355』の人気コーナー、『おやすみソング』に『龍安寺の歌』という歌があります。作詞作曲は堀江由朗さん、うちのますみさん、佐藤雅彦さん、編曲は石川将也さん、歌はショコタンこと中川翔子さんです。
龍安寺の歌
京都のお寺 龍安寺
石のお庭を 眺めれば
ちいさく 広く 静まって
置かれた石の 数 十五
吾(われ)唯(ただ)足(た)ることを知る
知足(ちそく)の蹲踞(つくばい)の四字
水をたたえて
京都右京区 龍安寺
池の南に 来てみれば
水分石(みくまりいし)が向き合って
お池の水の嵩(かさ)をみる
奥に向かって低くなる
遠近の油土塀(あぶらどべい)
古(いにしえ)の人の知恵
春を待つ 侘助椿(わびすけつばき)
葉音に耳を澄ませれば
茶庭(ちゃにわ)の垣の菱の組み
苔の緑に 音が染(し)む
苔の緑に 音が染む
↑ 中央の『口』の字を囲み、『吾、唯、足、知』と書かれている『知足の蹲踞』
龍安寺は世界文化遺産にも登録されている京都・嵐山のお寺。室町時代に細川勝元が徳大寺の別荘を譲り受けて建立しました。
しかしこのお庭の作者はよくわかっていません。寺を創建した細川勝元?絵師の相阿弥?茶人の金森宗和?。庭石には『小太郎・口二郎』の刻印がありますが、これも謎なんだそうです。
有名なのがわずか75坪の長方形の白砂の庭に、15個の石を5・2・3・2・3に配置した枯山水庭園。極端に抽象化された構成に、禅の世界の奥深さを感じます。『虎の子渡しの庭』『七五三の庭』『心の字を配置している庭』とも言われています。
春には油土塀にしなだれかかる枝垂れ桜、夏は青もみじ、秋は真っ赤に染まる紅葉、冬は雪景色、四季折々の彩りも見事なお庭です。
この枯山水庭園の石の数、全部で15ありますが、庭のどの角度から眺めても、必ず1個は別の石の陰に隠れて見えないそうですよ。ですが方丈の内部から見ると、15個全部が見える位置があるそうです。いったいどこなんでしょう?
またこの石庭や油土塀には高低差を作るなどして、遠近法を利用した視覚効果の仕掛けがあります。この高低差、まず気付けないほどの絶妙な造りになっており、当時の文化人の高い知性と深い芸術性には脱帽です。
他にも『鏡容池』、秀吉が愛した日本最古の侘助椿も有名です。
龍安寺周辺には同じく世界文化遺産に登録された金閣寺(徒歩16分)、仁和寺(徒歩11分)もあり、さらに仁和寺から嵐電(京福電鉄北野線)に乗ると、嵐山の中心まで行くことが出来ます。
『龍安寺の歌』を口ずさみながら京都旅、行きたいですね。
龍安寺
京都市右京区龍安寺御陵下町13
【拝観日時】
3月1日~11月30日 8:00a.m – 5:00p.m.
12月1日~2月末日 8:30a.m – 4:30p.m.
【拝観料】
大人・高校生 500円 小・中学生 300円