福を引き寄せることでおなじみの「招き猫」。東京にはいくつか招き猫の発祥地とされる場所があります。そこでのんびりと調べようと思っていたところ、その内の一カ所がとてつもないことになっていたので、急遽ご紹介することにしました。
その場所というのが東京・世田谷区にある豪徳寺というお寺。ではまずこちらをご覧ください。
この場所は本堂に隣接する”招猫観音(招猫観世音菩薩)” を祀った招猫殿のそばにある招福猫奉納所という一角。やぐらの中に到底収まり切らないこれらの招き猫たちの正式な名称は「招福猫児(まねぎねこ)」。願いが成就したお礼に奉納されるようですが、それにしてもこれはスゴすぎますね。
ここ豪徳寺は曹洞宗の禅寺で、有力大名の彦根藩井伊家の菩提寺。豪徳寺という名前や招福猫児の誕生エピソードも井伊家ゆかりのものだそうです。江戸の初期、時の彦根藩主・井伊直孝が鷹狩りの帰りに付近を通りかかると、寺の飼い猫が手招きをしていました。その愛らしい仕草に誘われて直孝は寺で一休みすることにしたのですが、寺に入った途端に雷雲が立ち込め、瞬く間に豪雨となってしまいました。
すると直孝は「この猫が招いてくれたから濡れずに済んだ。これは縁起がいい」と大いに喜び、これを機に寺は井伊家の菩提寺となったのです。直孝の没後に、彼の院号「久昌院殿豪徳天英居士」にちなんで当寺の名は豪徳寺と改められ、同時に招猫観音も祀られたことで上記の伝承も広まっていったといいます。
それでは招き猫たちをもう少しじっくり見てみましょう。受付所で販売されている実際の奉納用の招き猫ですが、何か足りないことに気がつきませんか?
では今でもこの寺には飼い猫がいるのかと気になりましたが、 残念ながら現在はそのような猫はいない様子。ですがそのイメージを思わせる猫の置物が境内にありました。
そして境内だけでなく、門前町にあたる豪徳寺商店街も招き猫づくしです。小田急線の豪徳寺駅前にはインパクト大の招き猫像が立っており、焼き鳥屋まで猫で客引きしているみたいです。その他の周辺の商店も猫グッズや猫がモチーフのお菓子を販売したりと、一帯は完全な招き猫通りです。
東京都世田谷区豪徳寺2−24−7