京津線も開業100周年を迎えました。京津線。何となく中国の電車に思えそうな名前ですが、れっきとした日本の電車です。京阪電車・京津線。京都と大津の間には、そんな名前の電車が走っているのです。
JRだと、京都駅と大津駅の所要時間は、約10分。「意外と近い」と思われるでしょうし、実際に直線距離は近いんですが、間には山があります。JRはこれをトンネルで抜けますが、京津線はほとんど登山状態で山越え。なので、JRよりはるかに時間がかかります。運賃も、JRより高くつきます。でも、JRがトンネルばっかりで途中駅がほとんどないのに対し、京津線はこまめに駅を設けることで、なんとか地元の足として頑張ってます。
現在の京津線は、沿線風景が目まぐるしく変化することで有名です。京都側の始発駅は、地下にある京都市役所前駅。この駅、正しくは京都市営地下鉄の駅ですが、京津線の大半の列車はここまで乗り入れてます。かつては路面電車で走ってた三条通の下を地下鉄として東進、東山を越えたところで地上へ出て、街中をしばし走ってから、山越えです。
かつて車石が敷かれた道を馬車や牛車が山越えしてた旧・東海道のルートを、山岳列車の気分で走破。大手私鉄では最急勾配という駅に停まりながら、古くて小さいトンネルを抜け、大津市街へ入ると、電車は普通の道路上を走り出します。いわゆるチンチン電車ではなく、そこそこ大きい電車が道路のど真ん中を走るという珍しい光景を見せながら、大津側の終点・浜大津へ到着。目の前に拡がるのは、海のような琵琶湖の姿です。
「地下鉄と~山越えと~路面電車を~♪」と「愛しさと切なさと心強さと」のメロで歌いたくなるかどうかは一切不明ですが、とにかく過激なまでにバラエティに富んだ走りを見せてくれる京津線。でも、そんなことを喜んでくれるのは、鉄っちゃんばかり。地元の人は「地下鉄乗り入れの二重運賃を何とかせえ」というばかり。それ以外の人は、知る機会さえあまりないばかり。でも、京津線は頑張ってます。良かったら、乗ってみてください。