Japaaan読者の皆さんこんにちは。ライターの小山桜子です。今回は世界遺産にも登録されている沖縄独特の「城(グスク)」について、その特徴や本州の戦国時代の城との違いについてご紹介します。前編は石垣について語ります!
「城(グスク)」とは?
グスク(御城)もしくはスク(城)とは、南西諸島の内、沖縄地方領域である奄美群島(鹿児島県)から八重山諸島(沖縄県)の沖縄弧とも呼ばれる地域にかけて、多数存在するグスク時代の遺跡です。
本土の戦国時代の城とは異なり、戦いに備えた建築物とは限らず、館や拝所であったと考えられるものもあり、地域、時期、により形態や呼び方に違いがあります。三山時代には王や按司の居城となっていました。
豊富な「琉球石灰岩」
沖縄の城の特徴の一つはなんといっても独特の石垣。岩石の主成分は「琉球石灰岩」です。石灰岩とは太古の昔のサンゴ礁や貝の死骸が化石となって堆積したものです。
石垣もそうですが、沖縄県の土地の約30パーセントがこの琉球石灰岩で構成されています。なんと更新世から形成され始めた琉球石灰岩の地層が最大で150mも堆積しており、沖縄の城づくりに大きく貢献したのです。
浅く温かな美しい海に囲まれた沖縄ならではですね。
優美な曲線状の石垣
沖縄の城壁は本州の戦国~江戸時代の直線的な城壁とは異なり、優美なカーブを描いているのが特徴です。
これは中国の万里の長城などにも見られる特徴で、琉球は昔から大陸との交易が盛んでしたから、地形の起伏を活かしながら城壁をつむ技術が中国や朝鮮半島経由で沖縄に伝わってきていた事が分かります。
この独特の曲線状の城壁は、ただ見た目が美しいのみならず、敵が攻めてきた際に全方位隙なく迎撃できるという実利的なメリットもあります。
ちなみに琉球の城の石垣には「隅頭石(すみがしらいし)」といって、城壁が折れる角がつんと天に突き出す特徴的な意匠が見られます。
この理由についてはいまだはっきりしませんが、琉球独特の美意識や、魔よけなど宗教的な意義があるのではないかと言われています。