富岡製糸場とは
富岡製糸場は明治5年(1872年)、明治政府が日本の近代化のために最初に設置した模範器械製糸場です。高品質な生糸(絹の原料)を輸出用に生産していました。
繰糸場、東・西繭倉庫、 外国人宿舎(女工館、検査人館、ブリュナ館)等の主要建物(国指定重要文化財)は、ほぼ創業当初の状態で良好に保存されています。明治政府がつくった官営工場の中で、ほぼ完全な形で残っているのは富岡製糸場だけで、敷地全体が国指定の史跡、初期の建造物群が重要文化財に指定されています。
世界文化遺産へ
2007年に文化庁が「富岡製糸場と絹産業遺産群」を世界遺産国内候補に選定し暫定リスト入り。登録までのハードルが高い中で、パーフェクトに近い保全状態などが高評価を得たことと、構成資産を4つに絞り込んだことが奏効して、2014年4月にはイコモスが世界遺産登録を勧告したと発表。2014年6月の第38回世界遺産委員会(ドーハ)で正式登録される見通しです。
1987年、閉鎖当時の経営者である片倉工業は「売らない、貸さない、壊さない」の3原則を掲げて。2005年に富岡市に移管するまで毎年、多額の維持費を負担しました。世界遺産登録で特に評価の高かった保存状態は、同社の功績なくしては語れません。
イメージキャラクター
富岡製糸場HP案内役は富岡市のイメージキャラクター「お富ちゃん」
NPO法人富岡製糸場を愛する会所属のシルキーちゃんもがんばってます。可愛らしい顔をしていますが、よく見ると蚕蛾です。
アクセス
自家用車:富岡製糸場は車両の乗り入れが不可。近隣の駐車場を利用して見学します。
電車:新宿駅~高崎駅(湘南新宿ライン)約2時間
。高崎駅で上信電鉄に乗換え(約40分)、
上州富岡駅下車、徒歩約15分(1㎞)。富岡製糸場見学往復割引乗車券もあります。
上信電鉄上信線 – Wikipedia
おみやげ
かいこの王国
群馬県の丸エイ食品が2013年1月に発売したチョコレート菓子。世界文化遺産登録を見据えて開発されました。見た目が本物そっくりで口にいれるのに勇気がいります。
くず湯まゆこもり
繭をモチーフにした銘菓。精製された葛粉でつくられ、絹のような舌触り。和紙があしらわれたパッケージデザインも素敵ですね。
まゆくわ最中
桑の実(どどめ)餡と桑の葉餡の2種類。富岡製糸場パッケージも登場しました。
まゆ菓優 田島屋さんは他にも絹を使用したお菓子がいろいろ!
周囲の観光スポット
カフェドローム
富岡製糸場から50mの近所に富岡製糸場に縁のある古民家カフェがすてき。製糸場見学のあとに一休みにおすすめ。
カフェドロームの店名は富岡製糸場のフランス人技術指導者ポール・ブリュナの出身地「ドローム県」が由来。カフェドロームは富岡製糸場操業から3年後の明治8年に建築された古民家を改装したカフェです。 当時は12軒つづきの長屋で(現在は7軒)製糸場関係者も利用したといわれています。
イチオシはカラメルの代わりにお味噌を使ったプリン『プリンそこがみそ』。お土産としてシルクスカーフも人気です。
トラベラーズのオススメ10選
「旅行のクチコミサイト フォートラベル」では特集「富岡製糸場周辺 人気観光スポット10選」を公開しました。富岡製糸場と併せて訪れることのできる周辺観光地を楽しんだ、会員の旅のレポートを紹介しています。旅行者目線のガイドはとっても参考になります。
富岡製糸場、いよいよ世界遺産へ 見所いっぱい、富岡製糸場周辺 人気観光スポット | フォートラベル 旅行特集&ランキング
富岡製糸場はブラック企業だった?
富岡製糸場が操業開始の背景には富国強兵政策がありました。殖産興業=養蚕・製糸業=女工哀史のイメージ。ブラック企業の走りではないかとの声もありましたが、創業当時は8時間労働、夏冬の長期休暇があるなど当時の労働条件としてはむしろ好待遇。民間工場になってから労働環境が悪化したようです。
富岡製糸場はブラック企業だったのか? 世界遺産に登録される理由とは|Huffington Post
製糸場を支えた工女
創業当時、繰糸場では大勢の工女たちが煮熟した繭から繭糸を引き出し、本数をそろえて1本の生糸を紡ぎ出していました。世界に愛された「富岡シルク」を作ったのは10代の少女たちでした。
教科書では教わらない歴史上の人物の奥深き心情をたどり、知られざる物語を紹介する NHKの人気歴史情報番組『歴史秘話ヒストリア』(NHK総合テレビ)では「富岡製糸場 世界遺産へ~世界を魅了した少女たちのシルク~」と題し、5月21日(水)に放映されました。
今後の課題
詰めかける大勢の観光客
イコモスの勧告が出た後の2014年のゴールデンウィーク期間中は過去最多の5万6千人の来場者を記録。ボランティア解説員によるガイドツアーはフル回転が続いています。今後、日本国内のみならず世界各地からの観光客を受け入れる態勢を整えることが急務とされます。
現状ではアクセスも便利とはいえず、車での来場者は近隣の駐車場を利用しますが、利用者からは「わかりにくい」との声も上がっています。
見学場所が限定
製糸場内部にはあちこちに立ち入り禁止の看板が。富岡製糸場には、およそ110棟の建物がありますが、見学できるのは、「東繭倉庫」と「操糸場」の2棟だけです。見学者からは「あれ?これだけ?」の声も。
建物の耐震化
歴史を重ねてきた建物群。いくら保管状態が良いとはいえども老朽化は免れず、漆喰がはがれ落ちたりしている箇所も。東日本大震災のときには震度4の揺れに耐え、目立った被害は見られませんでしたが、富岡市では再び大地震が起きれば、建物の被害は避けられないとみています。補修費用は100億円以上。25億円以上とみられる市の負担も懸念されます。
また、外観を保持したままの耐震化のためには内部からの補強が必要となり、技術的な問題も抱えています。
課題も山積みのようですが、正式な登録に向けてこれからも応援していきたいですね。
富岡製糸場のあらまし | 富岡製糸場ホームページ
富岡製糸場と絹産業遺産群 – Wikipedia
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