浴衣は元々「湯帷子(ゆかたびら)」と呼ばれる、貴族が蒸し風呂でヤケドしないために着用したもののようです。これが銭湯の普及に伴って一般民衆にも広まり、「浴衣(ゆかた)」と呼ばれるようになりました。
そんな浴衣は昔であれば白や藍や紺のものが主流でした。
その色合いには日本の夏を快適に過ごすためのヒントが隠されているんです。
涼しげに、そして実用的に
古典的な浴衣の色には、白や藍が多く見られます。白は昼間に着るもの、藍は夜に着るものと言われています。それはなぜでしょうか?
白は光を反射する色ですから、昼間に着ればより涼しげです。見た目にも涼しい印象がありますよね。
また藍は昔は天然染料で染められていました。染料の原料である植物の藍のにおいは蚊がきらいなにおいなんです。だから、蚊が出てくる夜には藍の浴衣を着たんだそうですよ。
蒸し暑くて虫も多くなる日本の夏をいかにして快適に過ごすか、そんな知恵が浴衣にはつまっています。
バリエーション豊かな現代の浴衣は夏のオシャレ着
そんな古典浴衣に対して、現代の浴衣は非常にカラフルです。
着物のような柄物もありますし、現代っぽいポップな印象のものもあります。
中には丈が短くなって裾にフリルがついたデザインの個性的なものまで販売されています。
着物人気もあり、浴衣は夏に手軽に着られるオシャレ着としてその存在を確立しています。
遊園地やショッピングセンターなどでこの季節になると「浴衣で行くとサービスが受けられる」という企画が多く催されているのも、浴衣を着る機会を増やしてくれているように感じます。
また、浴衣の中にもちょっと格の高いものもあり、かしこまった場でも着付け方によっては着ていけるものもあります。
そういった意味でも寝巻きとしてだけじゃない、オシャレ着としての浴衣が定着しているようです。