みなさんは、「宵越しの銭は持たない(よいごしのぜにはもたない)」という表現を聞いたことがありますか?金銭に執着しない江戸っ子の気質をうまく表した言葉ですが、その表現の背景はご存じですか?
今回は、「宵越しの銭は持たない(よいごしのぜにはもたない)」という表現から、江戸っ子の気質についてご紹介します!
「宵越しの銭は持たない」……その意味は?
これは、その日稼いだお金は翌日に持ち越すことなく、その日中に使い果たす、そんな金銭に執着しない江戸っ子の気質を表した言葉です。クヨクヨといちいち思い悩むのではなく、お金離れが良いという気風のよさや、『粋(いき)』であることも表しています。
古典落語『芝浜』など、落語の登場人物たちがそのような気質で語られることも多いので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
江戸っ子が「宵越しの銭は持たない」理由
単なる気質のせい、というのではなく、江戸っ子が「宵越しの銭は持たない」理由は他にもありました。
それは、「火事」です。
5年に1度は大火があったといわれる江戸は火事が多く、「火事と喧嘩は江戸の花」という表現まであるほど。当時は消防車もなく、火を消すためには燃えている家の周辺の建物を壊して延焼を防ぐということをしていました。
また、現代の銀行のようなものもありませんでしたので、家に大切にお金を置いておくことは、一晩ですべてを失ってしまうといった、大きなリスクでもあったのです。