アール・ヌーヴォー、フランス語で新しい芸術というような意味のあるこの芸術は、日本でも人気の様式です。
なぜ人気なのか、その秘密はアール・ヌーヴォーが動植物や人間そのものなどの自然の造詣をモチーフに作られているからではないでしょうか。
アール・ヌーヴォーの代表的な芸術家といえば、エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルネ・ラリック、トゥルーズ・ロートレックなどがあげられます。有名なサグラダ・ファミリアのアントニオ・ガウディもそうでしょう。
時代はめまぐるしく変わっていく19世紀末、新たな技術が今までの価値観に揺さぶりをかけていた時でした。そんな時に起こった自然回帰とも言える芸術の変化は、日本にも影響を及ぼしていました。
浮世絵から影響を受けていた?
アール・ヌーヴォーはその時代の日本の美術におおいに影響を与えたと言われていますが、実はそれは逆輸入的な影響の仕方だったとも言われています。
というのも、アール・ヌーヴォーの代表的な芸術家たちの多くは、日本の浮世絵などの影響を強く受けていたからです。
日本は古くから自然と強いつながりを持った文化を形成しています。自然には全て神様が宿っており、それを芸術に反映させることは当たり前のことだったのです。
そんな日本の芸術に影響を受けたヨーロッパの芸術家たちが作り上げたのがアール・ヌーヴォーです。
これならば、日本で人気があるというのも納得ですよね。
そして自然の造詣をおおいに取り入れたアール・ヌーヴォーに触発された日本の芸術家に、橋本五葉や藤島武二・杉浦非水などがあげられます。
彼らがアール・ヌーヴォーに心惹かれるのも、浮世絵からの影響を受けているという流れを見れば当然のようにも思えます。
そんなアール・ヌーヴォーの様式ですが、芸術として考えると非常に敷居が高く感じますよね。でも、アール・ヌーヴォーは芸術を生活の中に取り入れようという動きでもありました。また、現在の私たちの生活の周りには自然の造詣を取り入れたデザインが溢れています。日本人にとって自然と生活は切っても切れない関係なのかもしれません。
堅苦しく考えず、まずは家の中を見回してみて下さい。お皿に葉っぱが描かれていませんか?ハンカチにお花がデザインされていませんか?
身近なものから芸術を感じ取れる豊かさが確かに息づいていることが感じられますよ。