明治時代、官僚で民俗学者でもあった柳田国男が編纂した「遠野物語」。
岩手県の遠野地方に伝わる、妖怪・神や人間の恐ろしい本性により引き起こされた怪異などの話が119話収められています。
遠野物語は全て実際にあった話。実際の人物や場所もあるものの正直には記せないために漠然とした書き方をしたとか。
明治時代、世の中が急速に近代化しなんでも科学的に割り切ってしまうようになった都会人に向け「山にはさまざまな伝承が残っているのだぞ」……という柳田国男の強い想いが感じられます。
現在でも、「昨日、そこの角で座敷童見かけたよ!」という話があるという遠野。旅行で訪れてもよし、秋の夜長に遠野物語をじっくり読んでもよし。
摩訶不思議な世の中に引き込まれてください。
前回の記事はこちら
「昨夜その角で見かけたよ」……今でも街に妖怪の存在が息づく『遠野物語』の舞台【その1】
「遠野物語」を読んだことはありますか?岩手県の遠野市に伝わる、怖い話・哀しい話・残酷な逸話や伝承などを「民俗学の父」と呼ばれた柳田国男が編纂したもので、今から110年前に発表されたものです。…
妖怪・神・子殺し・姥捨山などさまざまな怪異が…
遠野物語に収められている話は、全部で119話。座敷童・かっぱ・山の神・雪女・天狗・姥捨山など、聞いたことのある話から、養蚕や馬の神様の話、神隠し、臨死体験などさまざまな目撃談が収められています。
たとえば……
夫婦になった馬が殺され後を追った娘
自分の馬を愛するあまり夫婦になった娘。怒った親に馬を殺され、後を追い命を絶つ。そしてその魂を慰めるため、娘と馬をかたどった小さな像が作られ守り神「オシラサマ」として今も信仰されている話。
津波にさらわれた妻の幽霊と再会するも…
愛する妻と子供と暮らしていた男。ある日、津波に妻子が流される。悲しみのまま受け入れられないでいたら、月夜の日、浜辺で男と一緒にいる妻の姿を発見。
実は、その男は妻が結婚前に好きだったといっていた人物で、二人は幽霊になって添いとげたという悲しいお話。