満開の桜の下には・・・最後の浮世絵師・月岡芳年の名作「新形三十六怪撰 小町桜の精」

風信子

日本人は何故こんなにも桜を好むのでしょうか。誰しも桜に関する思い出の一つぐらいは持っているのではないかと思います。

 

上掲の絵は、幕末から明治にかけて活躍した月岡芳年の『新撰三十六怪撰』36幅のうちの1幅「小町桜の精」です。

『新撰三十六怪撰』の題材はずばり“もののけ”です。この絵の縁取りの紙のぼろぼろと傷んだ感じも、最初からこのようにデザインされて描かれたものであり、“もののけ”の雰囲気を醸し出しています。

さて、この「小町桜の精」ですが、桜吹雪の舞う中にほっそりとした姿で佇みとても美しい姿です。

 

しかし、このお顔立ちが何か“もののけ”らしくないというか・・・生気がある感じがしませんか?

それは何故でしょう。

3ページ目 歌舞伎舞踊『積恋雪関扉』

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了