グレる、半グレなどの”グレ”という言葉は、実はハマグリを使った遊び「貝合せ」が起源

湯本泰隆

テレビドラマや漫画など、日本人はとかく不良を主人公にした物語を作品として多く発表しています。筆者の学生時代も、不良たちを主人公に描いた学園物の漫画やドラマ、アニメが多くありました。

ところで、「不良になること」を、日本語で「ぐれる」といいますが、この言葉は貝の「はまぐり」に由来しています。

「はまぐり」の殻は元々ペアだった殻としかぴったり合わせることが出来ません。古い時代からある「貝合わせ」という貝の神経衰弱のような遊びは、はまぐりの貝殻のそういう性質を利用した遊びだったわけです。

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貝合わせという遊びをご存知でしょうか。平安時代の貴族の遊びのひとつで、90個以上の貝殻を並べてひとつの貝殻に合う貝を見つけるという現代の神経衰弱に似た遊びです。貝殻の色合いや形の美しさや珍しさ…

また、食い違うことや、あてが外れることを”ぐりはま”と言うことがありますが、これは「貝合わせ」で殻が食い違って合わないときの造語からきており、”はまぐり”を逆さにした言葉です。

この「ぐりはま」がのちに「ぐれはま」と変化し、さらに「ぐれ」と略されるようになりました。そしてこの「ぐれ」が動詞化し、少年や青年が反抗的な行動をするようになることを「グレる」なんていうようになったのです。

ちなみに、はまぐりの語源は、浜にあって栗に似ていたこと(浜栗)からつけられました。

江戸末期に脚本が作られた歌舞伎『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』のセリフには、「それから、島で窮屈な勤めが嫌さにぐれ始め」というところがあり、少なくともこの頃には話し言葉として使われていたようです。

また、「暴力団などの反社会的な組織に所属せずに犯罪を繰り返す集団」のことをジャーナリストの溝口敦は「半グレ集団」と名づけましたが、この半グレのグレもここからきています(「愚連隊」の“グレ”であり、また黒と白の中間にあたる灰色の“グレー”という意味もあるようです)。

海の生き物から日本語が生まれるなんて、日本が海に囲まれた島国だからこその発想かもしれませんね。

参考

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