静岡は言わずと知れたお茶所。そこかしこにお茶畑があります。
そんな静岡で行われている農法に、茶草場農法というものがあります。そしてこの農法が、世界農業遺産に認定されたのです。
茶草場農法は、茶畑の周りにある草地の草を刈り取って、茶畑の畝と畝の間にまくというものです。化学肥料が広く使われるようになる以前から、100年あまりに渡って行われてきています。
では、なぜこの茶草場農法が今回世界農業遺産に認定されたのかというと、そこには生物多様性ということがあります。
実は日本の土地というのは放置しておくと徐々に木々に覆われて森林になっていってしまうことが分かっています。日本には豊かで美しい自然がありますが、それは全く何もせずに放置していればできるというものではなく、適切な手入れが必要なのです。
茶草場農法は定期的に草を刈り取ることで、美しく多様性に富んだ自然を守っているというわけです。また、近年増加して問題になっている外来種の植物も、茶草場では他の場所と比較して少ないということが分かっています。
お茶は日本の伝統的な飲み物ですが、ただおいしく飲めるというだけではなく、作られる過程において美しい自然を維持する役割も担っているのです。