浮世絵専門美術館の太田記念美術館で、夏にぴったりの展覧会「大江戸クルージング」が開催されます。
街中に堀や水路が張り巡らされ、隅田川や江戸湾に囲まれていた江戸の町は、「水の都」でした。舟は交通手段や流通手段としても重要な役割を担い、夏になれば人びとは川で舟遊びに興じたり、水辺と舟は当時の人々の生活に密着した存在でした。浮世絵には、非常に身近な存在だった水辺の様子などが数多く描かれています。
「大江戸クルージング」展は、浮世絵で江戸のさまざまな水辺をめぐる展覧会。日本橋川や佃島近辺、隅田川、小名木川、芝浦などの風景が続き、中には江戸の冬景色が描かれている作品も並び、さながら江戸をクルージングで見て回っているかのよう。美術館で、江戸の舟遊び気分を味わえます。
江戸の水辺と切っても切り離せないのが、川開き。両国周辺で開催された花火大会は、当時の人々も大いに楽しんだようで、浮世絵作品にも数多く残されています。夜空に打ち上げられる華やかな花火の下、川面には舟遊びを楽しむ数多の舟が浮かび、夏の夜を楽しんでいました。
同展では、江戸近辺の水辺がテーマの作品のみならず、多くの参詣者で賑わった江ノ島や、開運で栄えた日本各地の港を描いた浮世絵をはじめ、浮世絵に描かれた江戸時代のさまざまな船も紹介されます。
浮世絵に描かれた水辺の風景、舟、川開きを楽しむ人びとらを眺めていると、江戸の町人たちが、水辺に大きな親しみを持っていたことがうかがえます。夏にぴったりの浮世絵が集まった展覧会で、江戸の涼を目で楽しんでみてはいかがでしょうか。
太田記念美術館の企画展は、浮世絵の色を保護するため会期が短めとなっています。この季節らしい浮世絵の数々、どうぞお見逃しなく。
大江戸クルージング
会期:2017年7月1日(土)~23日(日)
休館日:7月3、10、18日
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
入館料:一般 700円、大高生 500円、中学生以下無料