覚えとくとさらに楽しい歌舞伎入門!歌舞伎のシンボル「隈取」の色に意味があるって知ってた?

芳川末廣

伝統芸能である歌舞伎には、長年受け継がれてきた独特の約束ごとがたくさんあります。

歌舞伎のシンボルともいえる、隈取の色についてのお約束はとりわけ有名です。歌舞伎をご覧になったことがなくても、「赤い隈取は正義の味方、青い隈取りは悪者をあらわしている」というルールをどこかで耳にしたことがあるという方は多いのではないでしょうか?赤系統の隈取は血気盛んな印象を受ける紅色を使い、善の心や勇猛ぶり・若々しさなどを表します。一方、青系統の隈取は藍色を使って、陰気な凄みや邪悪な心を表しているのです。

そんなお約束をひとつ知っていれば、たとえセリフが聞き取れなかったとしても「あの人は悪者みたいだな」「この人はヒーローらしいな」と察することができるので、歌舞伎の舞台がぐっと身近に感じられます。

しかし中には、赤と青が混在した隈取を使うと決まっている役柄もあるのです。「これって良い人?悪い人?」と悩んでしまいますね。

出典:The Metropolitan Museum of Art

その隈取は、市川團十郎家に伝わる歌舞伎十八番の中の「景清」という役で使われています。平家残党である不死身の豪傑・悪七兵衛景清が長いあいだ源氏方の牢屋に閉じ込められ、青白くなって痩せこけてしまったようすなどを藍色の部分で表現しているのだそうです。悪者というわけではなかったんですね。

しかし、歌舞伎十八番に現代ならではの新しい解釈を加えて上演し続けている市川海老蔵さんは、この藍色の部分に新たな視点を加えています。それは「超人的な力を持ちながらも平家として滅びてゆく、景清という男が持つ心の闇、心の影を藍色の一筋で表しているのではないか」というもの。海老蔵さんの演じる景清がどんなものか、気になってきませんか?

四百年の歴史を持つ歌舞伎は、いつの時代も新しい視点・新しい解釈を柔軟に取り入れながら形を変えて、常に進化してきました。ただ伝統を守るだけではない、古くて新しい魅力がたくさん詰まった歌舞伎の世界。ぜひ一度、生の芝居に触れてみてくださいね!

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