大正時代〜昭和時代にかけて活躍した版画家・川瀬巴水。浮世絵復興を目指して新版画という分野を確立した人物の一人で、生涯600点以上もの作品を残しました。
そんな川瀬巴水の作品約140点が一堂に会する展覧会「川瀬巴水展」。2017年1月2日から始まっていますので早速観覧に行ってきました。
これは楽しみだーー!浮世絵を蘇らせた絵師・川瀬巴水の140点もの作品が集結「川瀬巴水展」が新年開催
本展で公開されている木版画は初摺り作品で、巴水の代表作である「旅みやげ」シリーズや「東京二十景」シリーズなどの続きものを含む人気作品がたくさん展示されています。
約140点もの川瀬巴水作品が同時に楽しめるというのはとても貴重な機会で、会場に入るとまずその展示数の多さに驚かされます。
私自身、川瀬巴水の作品はネットやAppleのiBooksの無料作品集で見たことがあるだけで実際に観るのが今回が初めて。想像していた以上に色彩がとても美しく、作品の中で夕焼けや朝焼けを表現する際に使われる薄ピンク色がとっても印象的なんです。
旅みやげシリーズからもわかるように巴水は日本中を旅をしながら作品を作り続けました。旅先で写生をし、東京に戻って版画を制作する。巴水の旅工程を示す資料が展示されていたのですが、そのアグレッシブさに驚き。まさに「旅する絵師」なのです。
実際に作品を目の前にして気づくことも多く、「東京十二ヶ月」シリーズでは判型が丸型になっているのですが、それはまるで丸窓から景色を覗き込んでいるかのようでとても面白い感覚。巴水は川や月、夕暮れや夜景などを多く描きましたが、"自然"と"時"が作り出す景観に心から魅了されていたからこそ、描き出せたものではないでしょうかね。
巴水の作品は"ある場所の、とある一時"を切り取った静けさを感じる作品が多い中、「越後のうら浜」など自然の荒々しさを表現した作品も楽しむことができるのも本展の楽しみの一つ。巴水の作品の特徴が肌で感じられるのは140点という展示数ならではかと思います。
あの「雪庭のサンタクロース」を実際に観ることができたのは個人的にかなりの満足ポイントでありました。
本展は入場料が800円(中学生以下無料)なのですが、なんと着物を着て来場した場合は無料なのです。これは着物を着て行かなきゃ損!着物さんぽにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
展覧会「川瀬巴水展」は2017年1月16日(月)まで、東京都 立川高島屋8階で開催中です。