松本かつぢは昭和を代表する少女漫画・叙情画の作家。小池都知事も仮装した「リボンの騎士」が登場するよりも前に、ストーリーのある少女漫画を描いていました。
昭和のカワイイを作ったクリエイターといえば中原淳一の知名度が高いですが、松本かつぢも挿絵や漫画の制作の他、キャラクターデザインや動画、ベビーグッズの企画制作を手がけたり、多岐にわたって活躍していたのはご存知でしょうか。
かつぢの描く女の子は、エレガントでキュート。繊細な可愛らしさが魅力です。名前があまり広く知られていないかつぢですが、彼のイラスト、作品を目にしたことがある、という方は多いかもしれません。
1904(明治37)年に、神戸市に生まれた松本かつぢは、昭和初期から雑誌に叙情画や漫画の連載などを手がけていました。昭和13年に発表された「くるくるクルミちゃん」は少女漫画の先駆け的作品。連載は足かけ35年もの長きにわたって続きました。クルミちゃんは少女たちの間で大人気となり、次々と商品化され、昭和のキャラクターグッズの元祖となりました。
幅広く活動した松本かつぢの世界観を描き出す展覧会「マルチクリエイター 松本かつぢの世界展」が、兵庫県宝塚市の手塚治虫記念館で開催されています。
同展では、かつぢが手がけた叙情画から、漫画、童画、キャラクターと幅広い仕事ぶりの中から、約150点の見応えのある展示となっています。会場内のぬりえコーナーではクルミちゃんの可愛いぬりえも楽しめるそう。フラッシュを使用しなければ写真撮影もOKというのもうれしいですね。
2016年は松本かつぢの没後30年。この機会に『昭和のカワイイの元祖』の世界へ足を運んでみてはいかがでしょうか。