次世代につなぐ楽茶碗

Japaaan編集部

楽茶碗というと、ろくろを使わずに手捏ねで作る茶碗ということで有名です。
侘びさびを大切にした千利休が好んだことでも知られており、今日でも表千家の茶道具として使われています。
表千家には「千家十職」といって、棗や茶碗や花器を代々作成している家系があります。長い歴史の中で培われてきた技術を今に伝えるこれらの職人は、みんな昔ながらのやり方で丁寧に丁寧に物作りをしています。
その中に楽茶碗を作り続けている樂家もあるのです。

土を探すのも大切な仕事

楽茶碗というのは、一般的には手捏ねという手とヘラで作られた茶碗のことを指します。ろくろを使わないので素人でも気軽に楽しめる焼き物として親しまれてもいる茶碗です。
しかし、もっと限定された意味で楽茶碗と言われるとき、それは樂家の当主が作った茶碗のことを指します。

樂家は450年間この茶碗を作り続けている家系です。現在の当主は15代目。長い時を経た現在でも、茶碗の作り方は450年前と同じ製法です。

茶碗作りというと、土を捏ねるという作業に注目が集まりがちです。
確かにその作業はとても大切で、自分の心と土の意思のようなものが上手く融合しなければ良い茶碗にはならないのだそうです。

 

 

そして実際に茶碗を成型するのと同じくらいに大切なことが、茶碗の材料となる土を集めることです。
楽茶碗の材料となる土は代々樂家の当主が集めることになっています。
しかし、その集めた土は自分では使いません。現在の15代目当主も、今使っている土は自分の2代前の当主が集めたものだそうです。
茶碗に最適な土を探し、それを集めてくると長期間寝かせておくのだそうです。そしてそれを次の世代が使っていく。
樂家の茶碗作りは、常に100年先の未来を見越して行われているのです。

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