金、銀、銅などの金属製の下地の上に釉薬を乗せ、高温で焼成することで融けた釉薬によってガラスあるいはエナメル彩色を施す伝統工芸「七宝(しっぽう)」。七宝のなかにも東京都で制作され通常の技法とは少し異なる「東京七宝(とうきょうしっぽう)」というものがあります。
今回紹介するのは東京七宝を使用した帯留。七宝の帯留であれば珍しいものではありませんが、紹介するのは妖怪の七宝帯留です。
こちらの「妖怪七宝」という帯留は隅田川周辺に伝わる妖怪たちがデザインされているもので、東京七宝の伝統工芸士 畠山 弘さんが制作されています。畠山さんは荒川区の無形文化財保持者でもあります。
妖怪七宝になっている妖怪は大緋鯉、置いてけ堀、傘化け、轆轤首、河童の5種類。「置いてけ堀(置行堀)」という妖怪は初めて知りましたが、落語にも使用されるエピソードに出てくる妖怪で「置いてけ堀」は「置いてけぼり」の語源にもなっているそう。
どの妖怪のデザインも可愛らしく憎めないキャラクターですが、妖怪のデザインは妖怪作家である天野行雄さんによるもの。着物を着る時には帯留はとってもポイントで遊べる部分でもあるので、妖怪七宝のような可愛らしいものを合わせてみても面白いかもしれませんね。