今上野公園を訪れると、不思議な光景に出会うことができます。なんと人々が行き交う噴水広場のど真ん中に、水田が出現しているんです!しかも田植は7月の上旬にちょうど行われたばかり、若い苗がキレイに並んでいるところです。
ちょっと前まで公園のリニューアルのために工事をしていた上野公園でしたが、まさかこんなことになってしまうとは。しかしよく見ると、公園のアスファルトの上に水田用の木枠が置かれているだけで、田んぼというよりも、田んぼ入りの巨大なプールが設置されたというかんじでしょうか。
この「水田プール」の真ん中には泥で固められた「あぜ道」まであり、それがまた妙にリアルにできています。しかし田んぼの周りはフェンスがぐるりと取り囲んでいるので、あいにくあぜ道を歩くことはできませんが。
この田んぼ、7月9日に区内の小学生と福島県の小学生が田植えイベントを行ったようで、福島県喜多方地方に伝わる「田植え踊り」も披露されたそうです。稲は9月以降に収穫されるのだとか。カップルや外国人やホームレスの人など、都会の人間たちが行き交うこの公園に稲穂がそよぐ光景は、想像つくような、つかないような…。
しかし考えてみれば東京の都心には近年あちこちに「田んぼ」が見られるようになりました。ほとんどは真夏のヒートアイランド現象を防ぐためにの緑化事業の一環で、廃校のプールやビルの屋上など、およそ「田んぼ」とは言いづらい、けれど「田んぼ的なもの」が都心のあちこちに作られています。稲はバケツでも作ることができるので、こうした緑化事業に適しているのでしょう。
田んぼをぶっ潰して開発を進めてきた我々が、もう一度土に帰ろうとしている。でもそこは都会のコンクリートの上に作ったほんのわずかな土の上…。いつかカエルやドジョウやザリガニまでも、無理矢理都心に連れて来ちゃうんでしょうかねえ。