
諸説ある平賀源内(安田顕)の最期を紹介。孤独と狂気にハメられた天才…【大河べらぼう】第16回放送レビュー
エレキテルはインチキだ、アイツは山師どころか詐欺師だ……かつて神山検校が住んでいた「不吉の家」で孤独と狂気に蝕まれる平賀源内(安田顕)。丈右衛門(矢野聖人)によって殺人の濡れ衣を着せられてしまい、獄死してしまいます。
下戸の源内が呑めぬ酒を呑み、既に竹光しか持っていなかった源内が真剣を調達して大工の久五郎(齊藤友暁)を斬り殺した……どうにも無理筋ではあるものの、田沼意次(渡辺謙)も自身の窮状から動きがとれず、盟友を見捨てることに。
源内の遺稿となってしまった「七ツ星の龍と源内軒の物語」には事件の真相が偲ばされていたものの、その原稿は一橋治済(生田斗真)の焼き芋に化けてしまいました。
かつて自分に耕書堂の号を贈ってくれた源内の精神を後世に受け継ぐ決意をした蔦屋重三郎(横浜流星)は、安永9年(1780年)に青本・富本本・吉原細見を大売り出し。その中にはかつて「大切な人」と考えた物語『伊達模様見立蓬莱』も含まれています。
偉大な恩人を失った蔦重の物語が新たな局面を迎えようとしている第16回放送「さらば源内、見立ては蓬莱」今週も振り返っていきましょう!
七ツ星の龍とは?
事件の真相を知る「七ツ星の龍」とその親友である「源内軒」による仇討ち物語……源内軒はそのまんまですが、七ツ星の龍とは誰がモデルなのでしょうか。
推測の域を出ませんが、七ツ星とは田沼家の家紋である七曜紋(しちようもん)、龍とは田沼意次の幼名「龍助」に由来するものと考えられます。
徳川家基(奥智哉)が遂げた変死の真相を一緒に突き止めることで、盟友として共に歩んで行きたかった源内の思いが込められていたのかも知れませんね。
もし実在していたら、とても読み応えのある物語となったでしょうに……焼き芋に化けてしまったのでした。
エレキテルは本当にインチキか?
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「エレキテルなんて、誰でも作れるんですよ」
かつて弥七(片桐仁)がそう言っていたセリフが、源内先生の脳裏をよぎります。
結果として構造を知っていれば、確かにそうかも知れません。小学生の夏休み工作キットみたいに、シンプルな構造のエレキテル。しかしそれは、コロンブスの卵ってモンじゃないでしょうか。
答えを知っているから、誰でも作れるなんて簡単に言えます。しかし初見のガラクタを予備知識なしでこねくり回して、動くまでに持っていくのは容易なことではありません。
実用化できなかったから、虚仮脅しの絡繰り仕掛けで終わってしまったエレキテル。歴史でもしもの話をしても仕方ないものの、仮に源内先生が命を永らえていたら、この電気仕掛けを世の役に立つよう改良できた可能性もなかったとは言えないでしょう。
電気技術が未発達であった当時において、源内先生は時代の枠にはまり切らなかったのかも知れませんね。