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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」まさかの主人公ロス!?金陀美具足と兜首……第17回放送「三方ヶ原合戦」振り返り

「どうする家康」まさかの主人公ロス!?金陀美具足と兜首……第17回放送「三方ヶ原合戦」振り返り

「童(わっぱ)よ、戦というのは勝ってから始めるものじゃ」

自身を囮(エサ)に捨て身の策を講えたつもりが、まんまと誘い出されてしまった徳川家康(演:松本潤)。

果たして三方ヶ原には精鋭三万騎が待ち構え、武田信玄(演:阿部寛)に惨敗を喫します。

そして岡崎城に舞い込んだ「家康討死」の急報。本当に家康は討たれてしまったのでしょうか。

「んな訳ないだろ」

ほとんどの視聴者がツッコミを入れたであろう第17回放送「三方ヶ原合戦」。大丈夫、家康はこの後まだ40年以上もしぶとく生きます。

家康の生涯がおおむね知られている前提の脚本だから、ネタバレじゃありませんよね?それとも、まさかの影武者編が始まったら面白いですけどね(多分ありません)。

さて、NHK大河ドラマ「どうする家康」も全体の1/3を過ぎて武田との全面対決、いよいよ佳境に差しかかります。

肝心の戦闘場面は来週までお預け、今回も気になったトピックを振り返っていきましょう。

一言坂の合戦

家康に 過ぎたるものが 二つあり
唐の頭に 本多平八

これは武田との前哨戦・一言坂の合戦(元亀3・1572年10月22~23日ごろ?)において本多忠勝(演:山田祐貴)の武勇を讃えた武田方が詠んだ落首と言われます。

……この日本多平八郎忠勝度々奮戦して敵を追拂ひ。   君にも難なく浜松へ御帰城あり。御途中より成瀬吉右衛門正一もて忠勝が許へ仰下されしは。今日の働日頃の平八にあらず。たゞ八幡大菩薩の出現ありて。味方を加護し給ひしと思召すよし御感賞ありしとぞ。甲州人がからのかしらに本多平八といふ狂句をかきて。見付の臺へ立しもこの時の事なり。……

※『東照宮御実紀附録』巻二「元亀三年信玄侵遠州」

結果からすれば徳川軍が敗退したのですが、忠勝の奮戦によって武田の追撃を撃退。無事に浜松へ帰り着いた家康が成瀬正一(なるせ まさかず)に伝言させました。

「今日の働きは、きっと八幡大菩薩のご加護があったに違いない」

そう賞賛する一方で、武田方の者は「本多平八は、家康なんかにはもったいない。ついでに唐の頭(から/とうのかしら)もだ」と茶化したのです。

唐の頭とは熊毛(ヤクの毛。舶来品なので高級)であしらった兜のこと。劇中で信玄と武田勝頼(演:眞栄田郷敦)がかぶっているアレで、実は家康も持っていたのでした。

なお、劇中でボロボロになっていた忠勝。生涯において57度の合戦に臨み、一度も傷を負わなかったと言いますが、ドラマでは「本当は負傷することもあったけど、返り血と言い張った」設定になっていますね。

それにしても、八幡大菩薩のご加護を受けた本多忠勝の暴れぶりを観たかったです。

2ページ目 高天神城について

 

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