植物分類学のレジェンド
新年度のNHKの朝ドラ「らんまん」の主人公は、明治・大正時代に活躍した、植物分類学の父とされる牧野富太郎です。
名前を聞いたことがある、という程度の人にとっては地味なイメージの人物かも知れません。しかしその生涯は波乱万丈で、NHKも実に面白い題材を選んだものです。
牧野富太郎はどんな人物だったのでしょうか。彼は文久2年(1862年)に現在の高知県で生まれ、豊かな自然に囲まれた環境で幼少期を過ごし、植物に興味を持って自ら学び始めました。
その後、明治17年(1884年)に東京大学理学部の植物学教室で研究を深め、日本人として初めて新種のヤマトグサに学名をつけるという功績を果たしました。
そして牧野は、40万枚以上の植物標本を収集し、約1500種類の植物に命名し、日本植物分類学の基礎を築くことに貢献します。また、現在でも研究者や学者にとって必携・必読の書とされる『牧野日本植物図鑑』を刊行しました。
一方で、その人生は決して順風満帆なものではなく、植物学教室の教授である矢田部良吉との確執や、研究のための金銭的出費による経済的な苦境にも直面しています。