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あまりの恥ずかしさで…古典「常陸国風土記」より、ピュア過ぎたカップルの恋愛エピソード

あまりの恥ずかしさで…古典「常陸国風土記」より、ピュア過ぎたカップルの恋愛エピソード

人間生きていれば、恥ずかしい経験の一つや二つあるもの。人によって顔を真っ赤にしたり、逆に青ざめたりなど、そのリアクションも様々です。

まったく動じない(筆sh……もとい誰かさんのような)鉄面皮がいる一方、羞恥心のあまり固まってしまう純粋な方もいるもので、今回はとてもピュアな若いカップルのエピソードを、古典『常陸国風土記(ひたちのくに ふどき)』から紹介したいと思います。

ほとばしる情熱のまま、惹かれ合う二人は…。

さて、今は昔、常陸国の那賀郡寒田(現:茨城県那珂市あたり)に住んでいた美青年が、海上郡安是(現:千葉県銚子市あたり)に住んでいるという美少女の噂を聞きつけ、是非ともお会いしたいと願っていました。

(※)男女ともに本名は不詳、出典ではそれぞれ那賀寒田郎子(なかのさむたのいらつこ)、海上安是嬢子(うなかみのあぜのいらつめ)となっています。

「それなら、今度の嬥歌(かがい)に彼女が来るらしいから、君も参加するといいよ」

「おお、行かいでか!」

嬥歌とは恋人を求める男女が集まり、互いに気の利いた歌を詠み合うことで相性を確かめる、現代で言えば合コンのちょっとお洒落バージョンみたいなもの。いわゆる歌垣(うたがき)ですが、関東より東では嬥歌と呼ばれたそうです。

(よーし!絶対に彼女をゲットするぞ!)

郎子は会場の常陸国香島郡(現:神栖市)まで遠路はるばるやって来て、さっそく嬢子にこんな歌を贈りました。

いやぜるの 安是(あぜ)の小松に 木綿(ゆふ)垂(し)でて
吾(あ)を振り見ゆも 安是小島はも

【意訳】
松の枝に目印の木綿を垂らして、私が気づくよう振ってくれているから、多くの女性の中がいる中でも、可愛らしいあなたに気づけましたよ。

歌を贈られた嬢子の方も彼を気に入ったようで、喜んで返歌を贈ります。

潮(うしお)には 立たむといへど 汝夫(なぜ)の子が
八十島(やそしま)隠り 吾(あ)を見さ走り

【意訳】
たくさん女性がいる中から私を見つけ、まっしぐらに駆け寄ってくるあなたは、きっと運命のパートナーに違いありません。

こうなったらもう話は早い……二人は手に手を取り合って会場を離れ、一目につかない暗いところで、ほとばしる情熱のまま……何をしたかは、ご想像の通りです。きっと。

2ページ目 我に返った翌朝、二人は恥ずかしさのあまり…。

 

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