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今も残る蛭子伝説。日本神話に登場する不遇の神「ヒルコ」とは一体どんな神様なのか?

今も残る蛭子伝説。日本神話に登場する不遇の神「ヒルコ」とは一体どんな神様なのか?

古事記や日本書紀に記された日本神話には、たくさんの神様が登場します。天照大御神(アマテラス)建速須佐之男命(スサノオ)といった神様は特に有名です。

一方で、ほとんど知られていない神々も多数登場し、その中には多くの謎に包まれた神様も存在しています。

そんな謎の神様の一柱「ヒルコ」。ヒルコは、日本神話の中にわずかに登場するだけなのですが、とても不可思議な神様で、その扱いも非常に不遇なものとなっています。

「ヒルコ」とは一体どんな神様なのか?そして、現代人にも馴染みのある神様とヒルコの意外な関係とは?

不遇の神「ヒルコ」についてお伝えしていきます。

日本神話におけるヒルコ

ヒルコは「国生み神生み」や「黄泉国」の神話で有名な「伊邪那岐神(イザナギ)」「伊邪那美神(イザナミ)」の子として登場します。

イザナギとイザナミは日本の国土を形成(国生み)するため、天上世界である高天原(たかまがはら/たかまのはら)からオノゴロ島(イザナギとイザナミが国生みの拠点にした島)に降り立ちます。ここでイザナギとイザナミは男女の交わりを行い、日本を形成する島々やたくさんの神様を産み落としていきます。

この時、一番最初に生まれた神様が「ヒルコ」でした。

ところが、ヒルコは体が不自由な子だったため、葦の船に乗せられてオノゴロ島から海に流されてしまいました。以降、日本神話の中にヒルコは一切登場しません。神話に登場したのも束の間、すぐに流されて行方不明になった不遇の神がヒルコなのです。

ヒルコはなぜ流されてしまったのか?

いくら体が不自由とはいえ、船に乗せて流してしまう行為は、現在の価値観からすれば許されることではありません。イザナギとイザナミはなぜこのような酷い行為に及んだのでしょうか?

解釈には諸説あるものの、その背景には「穢れ(けがれ)」の価値観が大きく影響しているとされています。穢れとは病気や死を意味する不浄なものとして、人々は忌み嫌っていました。そして、体が不自由なことも穢れの一種であり、ヒルコは不吉な子とされてしまい、海に流されることになったのです。

この穢れを払う行為が「禊(みそぎ、身を清める行為)」です。そして、穢れを忌み嫌う価値観は現代日本人にも受け継がれています。

現在でもよく見られる「神社の参拝前に手を洗って清める」、「葬儀の後に体に塩を振りかける」といった風習はその名残です。

2ページ目 七福神になったヒルコ

 

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