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飛鳥時代の日本でオーロラ!「日本書紀」に記された”キジの尾に似た赤気”の正体が明らかに

飛鳥時代の日本でオーロラ!「日本書紀」に記された”キジの尾に似た赤気”の正体が明らかに

国立極地研究所、国文学研究資料館、総合研究大学院大学による共同研究グループが、奈良時代に成立した歴史書「日本書紀」に関する興味深い研究結果を発表しました。

それは、”日本書紀に記述されている日本最古の天文記録は、オーロラを記したもの”というものです。

日本書紀 二十二巻の推古二十八年(620年)のくだりには日本最古の天文記録が記されていることが知られています。

日本書紀 二十二巻より

「十二月の庚寅の朔に、天に赤気有り。長さ一丈余なり。形雉尾に似れり」
(十二月の庚寅、天に赤気が現れた。それはキジの尾のようだった)

これがオーロラのことなのか、あるいは彗星なのか、これまで謎のままだったのですが、近年の古典籍を用いたオーロラ研究で解明されてきた「扇形オーロラ」と整合的であることを明らかにしたとのこと。

「キジの尾のようだった」というのは、キジのオスがメスに対して尾羽を広げてアピールするディスプレイ行動に似ていたと記していると解釈。江戸時代の古典籍「星解」には1770年に現れたオーロラが描かれていますが、このオーロラもキジが尾を広げた時の形に近いと言えます。

『星解』に描かれた1770年9月のオーロラ 出典:国立極地研究所ホームページ
キジのディスプレイ行動 出典:国立極地研究所ホームページ

そして「赤気」というオーロラの色味に関しては、過去の研究で日本のような中緯度で見られるオーロラは赤く扇形の構造であることが明らかになっています。

620年当時の日本の磁気緯度は現在よりも10度ほど高かったため、大規模な磁気嵐が起これば、日本でオーロラが見えても不思議はないんだそうです。観測時は新年で夜も長く、当時、夜は街灯などなく真っ暗だったので、オーロラを観測するには好条件だったんですね。

 

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