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そうだったの!?醤油で煮しめた「伽羅蕗(きゃらぶき)」のキャラって古代インド語が起源なんです
今年もフキノトウ(蕗薹)の季節が過ぎて、近所の山では蕗(ふき)がすくすく成長しています。
♪これっくらいの お弁当箱に……(中略)……筋の通った ふーき(蕗)♪
※「おべんとうばこのうた」より。
醤油で煮しめた伽羅蕗(きゃらぶき)は、お弁当やお茶漬け、あるいはお茶請けの定番として、昔からみんなに愛されて来ました(よね?)。
ところで、伽羅蕗のキャラって何だろう……と思いったことはありませんか?
伽羅というネーミングは、サンスクリット語の「黒(カーラー)」が語源
伽羅(きゃら)とは香木の一種で、沈香(じんこう)の中でも色が濃く黒っぽいもの(黒沈香)を指します。
古代インドのサンスクリット語ではカーラーグル(kālāguru)と呼ばれ、この「カーラー(黒)」部分の訛った漢字表記が伽羅(きゃら)という訳です。
確かに、醤油100%で煮しめ込んだ蕗は艶やかに黒光りしており、まさに「伽羅」の名前に相応しい美しさ。
かつて徳川家康(とくがわ いえやす)が東南アジア各地で朱印船貿易を展開した主目的の一つが、この伽羅を手に入れる事だったと言われますが、その情熱を彷彿とさせるようです。
※現代でも静岡県の久能山東照宮に家康お気に入りの伽羅(重要文化財)が伝わっています。たまに公開されることがあるので、チャンスがあったら見学したいものですね。
また、江戸時代初期は(特に東国では)まだ高級品だった醤油をふんだんに使って煮しめたため、高級感を演出するのにもってこいのネーミングと言えるでしょう。
最近では減塩ブームのためか醤油少なめ、砂糖や味醂なども加えたマイルドな味わいが好まれる傾向にあるようですが、きっちり醤油100%でしっかり煮しめた伽羅蕗もまた、少しの量でご飯が進み、酒の肴にも相性抜群。
要するに「とてもしょっぱい」訳ですが、その塩気の中から立ち上る大豆の力強さと蕗の青々しい薫りに、昔から楽しまれてきた春の訪れを感じることができるでしょう。
シンプルに作れるので、もし近所に生えていたら、チャレンジしてみるのもおすすめです。
※参考文献:
本山荻舟『飲食事典』平凡社出版、1958年1月
清水桂一 編『たべもの語源辞典 新訂版』東京堂出版、2012年9月
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