小学校の教科書でおなじみ、児童文学作家・新美南吉の代表作「ごんぎつね」がストップモーションアニメ化されました。2020年に「劇場版 ごん ‒ GON, THE LITTLE FOX -」が公開されます。
美しく豊かな日本の 自然や季節のめぐり、動植物と人との関わりが描かれる物語「ごんぎつね」。「劇場版 ごん ‒ GON, THE LITTLE FOX -」では、ストップモーションアニメ化するにあたり、原作に新たな解釈を加え、ごんと兵十の関係を際立たせています。
また、2つの視点で描くごんにも注目。小ぎつね・ごんから見た世界では人間と同じ二足歩行のキャラクターになり、人間から見た世界では四足歩行に。視点を使い分け、動物と人間の垣根が引き起こす悲劇を、普遍的な問題へと昇華させています。
作品の中で使用される人形の造形にも注目。人形のかしら(頭)は木彫りで、造形の自由度や複製できない点からも、木はアニメーションに向いている素材とはいいがたいですが、作る過程で、壊したり汚したりして出てくる木の味わいは、年齢を重ねた人間の魅力に通じるところがあります。そういった人間味やまとう空気を人形でも感じてもらいたいという考えから、素材に木を選ぶことにしたそう。
風景のセットでは本物の植物を多用し、複雑な味わいを醸し出しています。ストップモーション・アニメーションでの自然描写は珍しく、画から溢れる自然の“空気感”は他では見られない見どころでしょう。川のシーンでは、風景としての川らしさを表現するために本物の水を使った撮影も行っているそうです。
28分の短編の中で生と死が描かれ、優しさと哀しさが同居する儚いストーリー「劇場版 ごん ‒ GON, THE LITTLE FOX -」は、2020年2月28日(金)~3月5日(木)の期間、アップリンク吉祥寺にて1週間限定公開されます。