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江戸時代アニマル事情(3)何だコイツ?落語の題名にもなった珍獣・ラクダ

江戸時代アニマル事情(3)何だコイツ?落語の題名にもなった珍獣・ラクダ

落語の「らくだ」はとんでもない理由からのネーミング?

江戸時代、長崎の出島にはオランダや中国からの商人や使者が滞在しており、徳川吉宗がゾウを輸入させたのを始めとして、異国の動物たちが渡来するようになっていました。ラクダもその中に含まれており、文政4年(1821年)には雌雄のラクダが長崎に輸入され、夫婦仲が良い動物として江戸や上方でも珍重されました。

一方、背中にコブを乗せて大きな体でのっそりと動くラクダを「でっかいくせに役に立たねえ奴」と見なす人々もおり、大柄な人や動作がおっとりした人を『らくだ』と呼ぶようにもなります。それが、トラブルメーカーの巨漢が急死した騒動をブラックユーモアたっぷりに仕上げた落語の『らくだ』になったのです。

このようにラクダは、人気者のゾウや洋犬、もしくは乳製品を作るために重宝された乳牛などに比べると、古参であるにもかかわらずネガティブなネーミングに使われてしまうなど、少し気の毒なポジションです。

しかし、ラクダは輸送だけでなく毛織物や乳製品の供給源でもあり、中華料理の高級食材にもなれば、中東では乗り物になるなど、非常に有益な動物です。そうした優秀な部分ではなくとぼけた外見だけが日本人の心の琴線に触れて名作落語を産んだのだから、怪我の功名と言うべきかもしれませんね。

江戸時代アニマル事情

 

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