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初音ミクより3世紀早い!千本桜といえばやっぱり不朽の名作「義経千本桜」は外せない

初音ミクより3世紀早い!千本桜といえばやっぱり不朽の名作「義経千本桜」は外せない

お父さんお母さん恋しさに

鎌倉方から逃れ、川連法眼の館に匿われた義経は愛妾・静御前と再会。彼女は、義経から形見にと預けられた「初音の鼓」を肌身離さず旅を続けていました。

再会を喜ぶ二人でしたが、静御前のお供に付けていたはずの義経家臣・佐藤四郎兵衛忠信が見当たりません。不審に思った静御前が初音の鼓を打つと、不思議なことにどこからともなく狐が出現!

実はこの狐、初音の鼓の皮に使われている雌狐・雄狐の子供だったのです。親恋しさの一心で義経家臣の佐藤四郎兵衛忠信に化け、静御前のお供として初音の鼓の傍らで旅を続けていたのでした。

義経はそんな子狐の親を慕う無垢な思いを受けて、兄・頼朝に憎まれた自分自身の肉親との縁の薄さを嘆きます。憎みあい、争いと無念を繰り返してゆく…そんな人間の世を儚んだ義経は、これまでの静御前の守護を感謝するとともに初音の鼓を子狐に贈ることにしたのでした。

ここでの狐の芝居は大変特徴的な愛らしいもので、穏やかに涙を誘います。初音の鼓を手に入れ大喜びした子狐が、嬉しそうに空を飛んで行く「宙乗り」という幕切れの演出も有名です。

これでもかこれでもかという悲しみの連続のあとで、おとぎ話のように幻想的なふんわりとした幕切れを迎える「義経千本桜」。数あるお芝居の中から選ばれた「三大狂言」のひとつですから、機会があればぜひご覧ください!

 

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